2008年04月21日

寿司の旨さと年齢の関係

とある寿司屋に行きました。
あんまりいいところなんで、名前を書くのはやめようかとも思ったんですが、熊本市内からも割と離れているし、そもそもそんな影響力のあるブログでもないので、紹介します。
「正六」というお店です。
こちらも絶品の料理をさくさくっと作ってしまう私のお気に入りの店(「疲労回復」の回をご参照)のご主人が連れてってくれました。
カウンターに座ると、息子らしい若い職人さんと、60がらみくらいのご主人。
この主人がいかにも寿司屋の主人というか、ガンコオヤジを絵に描いた風な雰囲気です。寿司屋のカウンターに座って「怖いぞ」と思ったのは久しぶり。
ビールで乾杯し、おつまみに刺身をおまかせ(というか、「何にする?」「あ、最初はつまみで・・・」「あいよ」という具合で、自動的におまかせになったのです)。いきなり中トロが出てきてびっくりしたものの、そのあとイカの細切りをごまとゆず胡椒であえたものがうまい。ウニは天草のもの。厚切りのアワビは塩をのせ、歯ごたえが絶品。いわゆる高級ネタが並んだのはこちらが初めてなせいだと思う。

そろそろ握ってもらおうかなあと思っていたところに、穴子の白焼き。
「この時期だから、たいしてうまくねえけどな」のセリフ付き。うらうら、怖いでしょって、楽しんでますが。
で、この穴子がうまくないどころか、もう絶品なんですよ。かすかにたれを塗って焼いたものにわさびをのせているんですが、このたれと焼き加減とわさびの加減がもう絶妙。口に入れると「ああ、穴子ってのはこんなにうまかったんだよなあ」と実感させる逸品です。この時期の穴子をここまで食わせるのか!!といきなり海原雄山状態。
「これ、うまい!」と思わず声が大きくなったら、ご主人ちらりとこちらをみて、「うめえわきゃ、ねんだよ」とぼそり。でも顔が照れてる。かわいいじゃないかおやじ。

このあとは食欲に火がついて、もうとまらない。
赤貝がまたうまい。見事なオレンジ色に思わず見とれて食べるのを忘れるほど。口中に投入しても、生臭さなんぞ派あるわけはなく、赤貝独特のさわやかな春の香りが鼻に抜けていくんですな。
「うまい、うまいよお」などと感激していると、頼んでない寿司がそっと出てきました。なんと、先ほどの穴子の白焼きを握ったヤツです。ご主人がうつむきがちにぼそっと一言。
「シャリ付きで、どうぞ」
くーっ、格好いいぞお!。

そろそろ締めにかんぴょう巻きでもと考えていると(私締めはわさびをきかせたかんぴょう巻きと決めてるんです。でも最近かんぴょう巻き出さないところが多くて。かんぴょうって安いのに手間かかるからね)、「お客さん、サビ巻き、いく?」。
「もちろん!」と答えてすぐに頂いたものは、一見普通の海苔巻き。見た目で違うのは、普通4本に切るとことを2本に切ってあって、長い。パクつこうとすると、若旦那が「一気にいかない方がいいスよ」とアドバイス。
慎重に囓ると、これがいい香り。わさびの辛さよりもまず口の中に広がるのは、かすかに青いわさびの鮮烈な香り。そしてシャクシャクとした歯触り。見ると、細い白髪ネギのように切ったわさびの茎が詰まっているんです。
「茎の方は辛さはねえんだ。香りだけ」というご主人の言葉どおり、これがサビ巻きなんだよねえという究極の巻物でした。
締めにはこれほどいいものもないんだけど、最大の欠点は、これ食べちゃうとまた一から食べたくなっちゃうと言うこと。

次第にご主人も口がなめらかになってきて、いろいろ話を聞かせてもらったんだけど、修業して店を持ったのは40を過ぎてからだそう。その理由は「若くて店持っても、客になめられるから」「歳を重ねて初めて寿司屋ってのはやれるんだと思う」
客も同じだと思うんですよね。いくら旨いモノが喰いたくても、寿司屋には寿司屋の流儀があるわけで、20代や30回ったくらいでカウンターに座っても、そもそも居心地が悪い。歳取って初めて分かる世界ってのも、やっぱりあると思う。
だからって、歳とっていればいいってもんじゃないのは当然ですが。

至福の寿司屋、発見。
歳を取るって幸せだなあ。


ラベル:寿司
posted by 紅灯 at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 酒・料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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