行き先はこんな時間でもちゃんとしたものが食べられる小料理屋さん。私と同年配の料理人、宮本さんがやってる小さなお店です。
私の顔見るなり宮本さん、「疲れてますねえ」。
まずはビール。突き出しは馬ひも(あばら肉)の燻製バルサミコソース、筋子、キンカン。
馬ひもの燻製でもうビールがたまんない。
本日のお品書きはどれもこれも旨そうなんですが、目を引いたのが「和風ブイヤベース」。
注文すると、刺身のネタケースを取り出します。
「?」と見ていると、金目鯛、寒ブリ、カニ、牡蠣、イカ、タコ、それに鶏肉を次々に切り分け、鰹と昆布のだしを張った一人前用の土鍋へ。ほどよくだしが回った頃を見極めてトマトソースとサフラン少々。
これが絶品。ブイヤベースはこれまでいろんな店で食べたけど、こんなあっさりしてるのにコクがあるのは初めて。魚介のだしとトマトソースのバランスが絶妙で、一言で言えば滋味深い。
スープを少し残しておいて、最後の締めにリゾット。このときは少量のバターで仕上げてます。
で、いいですか。これで700円。本当に700円。
酒は福井の地酒「花垣」の新酒の濁り酒。濁り酒なんて甘くてどうも、なんて勝手に思って敬遠していた私は、かつてこの店で認識を変えました。
きのう戴いた一杯目は、この濁り酒を2日静かに置いておいた上澄み。
馥郁としたうまみが口中に広がる。でも新酒らしい色気がある。新酒にしてこれだけのうまみを感じさせるなんて言うのはワインには出来ない芸当です。うーん。日本酒ってあなどれませんね、まったく
2杯目は、一升瓶を少し揺すって、濁らせたところをもらいました。一杯目とはまた違う芳醇さ。贅沢すぎ。
他にも美味しいものを戴いて、店を出る頃には最初の疲れはどこへやら。上機嫌で帰宅した私。
人間というのは単純なものです。
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