2008年01月08日

激戦を制すのは誰!

有馬記念が終わったと思ったら、年に二回のお楽しみ、芥川賞・直木賞の季節がやってきました。今回のレースはなかなか面白い。
まずは大激戦、直木賞から。

候補は次の方々。
井上荒野、黒川博行、古処誠二、桜庭一樹、佐々木譲、馳星周。(以上敬称略、以下同じ)
いろんな意味で微妙な今回のエントリー。

まず佐々木譲。
確かにこれまでは凡作も多かったものの、今回の作品は畢生の大作だし泣かせるし、レオーネが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を撮ったようなもの(マニアックな比喩ですみません)。絶対今回欲しいだろうなあ、直木賞。
大本命◎

で、そこにどーんと立ちはだかるのがほぼ同じ歳、黒川博行。
って、この人まだ直木賞とってなかったの?おいおい何してんのちゃんとあげなきゃだめじゃないよ。へえすんません、うっかり忘れてました。リストアップしときましたんで、あとはあんじょうたのんます。
という楽屋裏をつい想像してしまう何を今更なお方です。まあ、宮部みゆきとか東野圭吾とかに比べたらそれは今ひとつでしょうが(失礼)、もはや大御所であることには変わりありません。今回は作品も良いし。大対抗○

続くのが桜庭一樹。昔、男だと思ってましたよこの人のこと。
それはともかく、「赤朽葉家の伝説」での前回に続いてのノミネート。
今回の候補作は、大変面白いんだけれども、保守的なベテラン作家に受けがいいとはとても思えないのであります。しかし連続ノミネートで実力は折り紙付きだし、なんと言っても今回胴元の文藝春秋が版元になってる小説はこれだけ。いいでしょ、なんか来そうでしょ。というわけで単穴▲

古処誠二。
この人ね、「ミステリー作家」としてデビューした頃(なんたって「メフィスト賞」だからね。あの「六トン」と同じ)から注目してた私としては、伸びてくれてうれしい。うれしいけど地味なんだよね、今ひとつ。あんまり器用なタイプじゃないし。むしろ純文学の方が向いてたんじゃないかなあ。芥川賞だったらもう受賞してたりして。でも直木賞候補3回目。やっぱりじいさんには受けもいいし。
とりあえず連下△

申し訳ないけれど過去の人という認識だった馳星周。
「不夜城」のころは華々しかったんだけどねえ。ただこの手の文章の人(荒削り風味を意図的に漂わせるタイプ。勝目梓とか西村寿行とか)は、どんなに読ませる文章書いても直木賞からは嫌われる傾向は今もあるんだと思う。お上品な「テロリストのパラソル」は評価されても、絶対にエルロイはダメなんだろうなあ、この賞では。
この人、編集者筋からは評判がいいだけに、今回復活を果たしたんだろうけど、予想は無印。ごめんね。

今回最大の話題は井上荒野。「全身小説家」井上光晴の娘です。やっぱり興味ありますよねえ、あの作家の娘が何を考えて作家になってどんな作品を書いているのか。小説をどういうものととらえているのか。
なんて、実は私娘の方の作品は全く読んだことがないのであります。書店で手にとって「ああ、井上光晴の……」とぱらぱら読んだことはありますが、ちょっと私の守備範囲じゃない気がしまして。
賞レースとしては、いきなり受賞じゃちょっと格好がつかない。とはいえ吉行理恵みたいなケースもあるし、なんと言っても井上光晴だし、ということで大穴●

結論
むずかしいぞ、これは。
佐々木譲・黒川博行のダブル受賞はなんぼなんでもない気もするしなあ。
ただ、黒川ー井上、佐々木ー井上のダブルにして、強引に井上を初回受賞させちゃうのは戦術としては悪くないよね。
受賞会見の見栄えもいいし。
(そこまでおまえが考えるな!)


で、芥川賞です。
候補は
楊逸、川上未映子、田中慎弥、津村記久子、中山智幸、西村賢太、山崎ナオコーラ。
こちらも小粒ながらなかなか激戦。

話題という点ではなんといっても中国籍で注目を集める楊逸。母国語が日本語以外の候補というのは、「いちげんさん」のデビット・ゾペティ以来じゃないかな。作品自体は私未読なのだが、一応本命◎(なんじゃそりゃ)。

キャラで言えば田中慎弥もなかなか。候補は2回目(というよりこの2作しかないんじゃないかな)だが、嘘か誠か1作に10年かけるという寡作家。それよりなにより高校卒業して30代半ばのいままで一切職に就かずひたすら読書と執筆に明け暮れていたというエピソードが話題先行の最近の芥川賞向き。作品は中学生のいじめがテーマで、食傷気味だが芥川賞には向いていそう。対抗○

個人的に注目なのは、西村賢太の再度のエントリー。藤澤清造シリーズばかり書いてるあの人。候補作は読んでないけど、やっぱりあれなんだろうなあ。文章がうまいとかヘタとかそういうレベルじゃないカルト作家。ダークホースだけど最近ファンが増えたし意外と受賞もありえる。ただ、こういう作家は表舞台に出てこない方が魅力的なのかも。単穴▲

山崎ナオコーラはペンネームほど作品にインパクトがないけれど、そのあたりが意外に保守的な選考委員は向いているのかもね。連下△

川上未映子、中山智幸、津村記久子は、話題性ではやや劣るし(もう、ミュージシャンもやってますだけじゃ話題作りにならない)、「悪くはないが次の作品も読んでみたい」とか選考委員に言われそうな気配濃厚。ちなみに「次の作品も・・・」と選考委員がいうのは、特に悪いところもないけどさあ、なんかこいつに賞やりたくないんだよね。俺こいつ嫌い」という意味であります。
中山智幸は私の最初の大学の同じ学科の後輩にあたるので、少しばかり応援しているんだけど。

結論
一人受賞なら評価が割れなかったと言うことで注目の楊逸。
割れたなら田中慎弥と西村賢太のダブル受賞。
流し買いなら、軸は楊逸ではなく、田中慎弥がおすすめ(のような気がする)。

(繰り返し言っておきますが、井上荒野と楊逸と西村賢太の候補作は未読です。その程度の予想ですので念のため)。





ラベル:芥川賞 直木賞
posted by 紅灯 at 16:40| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。