ここのところやたらめったら忙しくてなかなか手が付けられなかったという言い訳はあるんだけど、でも年明けてずっと忙しいからなあ。言い訳にならない。
編集者のOさんからは、5月中になんとか形にして欲しいといわれてて、「まだ時間あるからダイジョウブ」などと思っていたら、やっぱりの惨状。予感はしていましたが。
「ああ、どうしよう」などとぶつぶつ逃避ばかりしていたら、全く予期しなかった励ましがきた。
石牟礼道子さんである。
石牟礼さんといえば、水俣病の書籍にこれ以上のものがあるかといわれる「苦海浄土」の作者である。水俣病と言えば真っ先にこの本を思い浮かべる人も多い。
近著「アニマの鳥」も、「殯の森」の河瀬直美監督が映画化を考えているなど現役の大御所である。
その石牟礼さんにいきなり電話で褒められてしまった。
今回の本の元になる、私が一年間雑誌に連載した原稿を読んで下さって、「とてもいい」とおっしゃってくれたのだ。
「紅灯さん、あれね、私もう何度も読みましたよ。繰り返し繰り返し。最近読んだものの中で一番良かった」
そして、水俣病について「私の知らないことも沢山書いてある」ともおっしゃってくれた。
当たり前の話だけど、私の文章なんて、水俣病の知識なんて、石牟礼さんの足もとどころか地平線の向こうまで走っていったって届かない。
過分な褒め言葉に、比喩じゃなく冷や汗が出た。
連載を本にしようとしていることを知ってるので、大先輩として少し活を入れてやろうと思われたのだろう。
原稿を前にげんなりしている私を想像できたのかもしれない。
でも嬉しかった。文字通り勇気百倍。
石牟礼道子さんに褒められた、なんてこんなに自慢できることがあるだろうか。
がんばろう。
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ところでもしかして本格的に物書きに商売替えしたのかな?