水俣病被害者の救済を名目に、国・熊本県・チッソの免罪を目指したどうにも姑息きわまる法案だ。
「被害者の救済を名目に」って書いたけど、それすら怪しくなっていることは以前のブログに書いた。わざわざ「前文」をつけて「これは被害者のための法律だ」って言わないと訳がわからなくなってる。
何よりこの法案、被害者側には何の相談もしていないのだ。法案を提出するまでに2年くらいかかっているが、その間、被害者側とはまったく協議をしていない。ひたすらチッソの会長と水面下で話を続けただけ。
「被害者救済」と銘打った和解案をまとめるのに、被害者側の意見を全く聞かないなんて信じられるだろうか?
信じられないことだけど、その信じられないことが堂々とまかり通っているのだ。
水俣病のことは全然わからない人だって、この経過を見れば、こんなもの「救済」でもなんでもないことはわかるだろう。
ところが「救済」という名前を最大限利用しようとばかりに、熊本県などは「早くこの案で患者を救って欲しい」などとしらじらしいことを言って国会に知事が陳情したりしている。
マスコミだってそうだ。地元メディアはともかく、東京のメディアなどはこうした経緯を全く取材せずに、ただ「救済」を鵜呑みにして「被害者救済法案、国会提出。民主党反対で難航か」などと平気で書いている。
もう無茶苦茶である。
あんまりひどい状況に沢山の人が怒っている。
複数の患者団体が立場を超えて法案の撤回を求める共同声明を出した。
その賛同人になってほしいという呼びかけが私の所にもきた。
普段はこうした依頼は丁重にお断りしているのだけれど、今回ばかりはそんなことは言っていられない。
しっかりと名前を出すことになった。
これでどういう影響があるかどうかわからない。
でもたとえどんなに叩かれることになろうと身を引いてはいけない時がある。
それはきっと今だ。
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