2009年03月02日

サブプライムとヤクザの論理

世界的大不況で日本でもいろいろととんでもないことになっているけれど、東南アジアの凄まじさを知って愕然とした。
金融優等生だったシンガポールでは政府が外国人労働者を切るように企業に指導しているし、タイではミャンマーから逃れてきた少数民族への虐待が深刻化している。沿岸にボートで流れ着いた人たちをタイ海軍が船で沖に連れ戻したりしている。この少数民族はミャンマーでも軍隊から暴行を受けたりして逃れてきた難民なのだが、タイ政府は「タイ国民の仕事を奪われるわけにいかない」という理由で追い返しているのだ。
タイは比較的外国人に寛容な国だし、私もタイは何度か行って好きな国のひとつだけにショックだった。

こうした大不況の原因は金融不安であって、その元凶はサブプライム問題だってことはもう誰でも知ってる。
「サブプライム問題はややこしい」なんて言われているけれど、それは細かい部分だけがややこしいのであって、基本的には架空取引と架空転売に限りなく近い行為を繰り返すだけの詐欺まがいの構図だったことは経済関係者なら当時から誰でも知っていたはずだ。少なくとも私はそう思っていたし、警鐘を鳴らす学者も沢山いた。いずれ必ず誰かがババを引く。ひょっとしたら参加者全員がババを引くのかもしれない。でもそのスパイラルが上を向いている限り、そこに手を突っ込めばいくらでもカネがつかめるのだ。だから自称カリスマ経営者たちが殺到した。今になって「この問題は複雑だ」なんて言い逃れている奴を信用してはいけない。
まったく、人間というのはどうしようもなく馬鹿で強欲だとため息をつくのは簡単だけど、問題はそこじゃない。

暴力団抗争事件の裁判の判決文には独特の表現が出てくる。
「暴力団特有の論理をもって犯行を行い……」というヤツで、要するに暴力団の内輪モメでカタギに迷惑かけるなということを裁判所が上品に言っているわけである。抗争の流れ弾に当たって死んじゃったなんて迷惑どころじゃない。
サブプライムに端を発した大不況は、実はこれである。
欲に目がくらみ金の貸し借りで大はしゃぎしていた連中の会社が潰れたり自殺したりするのはどうでもいい。それは『暴力団特有の論理』と何ら変わるところがないからだ。ヤクザどうしがいくら殺し合っても誰も同情はしない。

問題は、そうした論理と全く関わりのなかった人たち、「暴力団ではない人たち」が巻き添えにされていることである。
地道に働いていた派遣社員が契約を打ち切られ、あげく街角で人々を襲う。
内定を取り消され、「頼るのはカネだ」と振り込め詐欺の片棒を担ぐ大学生。
そしてアジアの片隅では難民として遇されるべき少数民族が不況の名の下に虐待を受け続けている。
大不況は確実に人々の倫理観をむしばみ始めている。
それはまるで、倫理観を失った経営者たちの腐臭が伝染し始めているみたいだ。

大不況対策を声高に叫ぶ経営者たちは、保身に走る前に、いったい自分がどれだけの世界中の人々を殺めてしまったのか、その汚れた手を見つめるべきだ。



posted by 紅灯 at 10:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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