一本目が「ミスト」。
「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」に続くキング原作&タラボン監督のコンビ3作目。世評の割にこの2作がそれほどいいとは思わなかったので、「ミスト」は劇場に足を運ばなかったのだが、大失敗。この映画は劇場で観たかったなあ。それもシネコンとかじゃなくて大スクリーンで。
とにかく良くできた映画だ。一応ホラーサスペンスなので万人向けという訳ではないが、「化け物より人間の方がよっぽどこわい」というキングの特徴を十分に活かしながらちゃんと映画として見応えある作品に仕上げている。原作に忠実ながらもラストを大胆に変更し、観た後の余韻を深くしている。
で、大スクリーンで観たかったというのは、このラスト直前の、大怪物が主人公たちをゆっくり跨いでいくところだ。
もちろんCGなんだけど、リアルというだけではなくてもう世界が完全に変わってしまったと思わせるムードに充ち満ちている。このシーンがあるからこそあのラストが成立している。
キリスト教原理主義が横行するブッシュ・アメリカを糺弾しながらもそれだけで終わらず、人間の行動原理の浅はかさまで画こうとしている姿勢もいい。とにかくいろんな意味で刺激に満ち溢れた一本。タラボン監督畏るべし。
もう一本は、ジョニー・ディップ主演の「シークレット・ウィンドウ」。基本的にストーリーはデニーロ&ミッキー・ロークの「エンゼル・ハート」そのまんまで目新しいところはまったくない。
じゃ面白くないかというと、これが結構愉しめた。
まずディップの演技がいい。アイドル俳優みたいな取り上げ方をされることもあるけれど、やっぱりこの人はうまいよね。それも「パイレーツ」みたいないかにもセクシー俳優みたいな役ではなく、この映画や「ニック・オブ・タイム」(古いけど)みたいな普通の役をやらせると本当にうまい。ハリウッドでこんな自然体の演技が出来るスターは貴重だと思う。女性ファンは怒るかもしれないけどダメ男役とかをもっとやってほしいと切に思う。
それからカメラがいい。鏡の使い方が効果的で面白い。
そしてそして、ティモシー・ハットン!。「グッド・シェパード」も良かったけど、存在感在るよね。「タップス」のころは真面目な美少年役しかなかったけど、すっかり「いいやつか悪い奴かわからないぞこいつは」っていう性格俳優への道まっしぐら。
というわけで、程度の差こそあれそれぞれ楽しめた2本。
キング原作の映画というとろくなものがないといわれた頃より随分改善されているような・・・といってもまあこれだけ沢山作れば当然なんだろうけどね。
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