よくこのブログで備忘録代わりに(というかブログというのは備忘録なんだろうな)ライブの感想などを書いているけれど、岡部鉄心バンドのことを今まで一度も書いてなかったことに気づいてしまった。
岡部鉄心さんというのは知る人ぞ知る博多のブルースマンで、ドラえもんの映画「のび太の宇宙小戦争」に出てくるパルチザンの自由同盟盟主のゲンブ氏そっくりのコワモテなんですが(って、誰もわかんない比喩だけどさ)、いったんギター持って唄い始めるともうこんなにサイコーなブルースマンはいないという方であります。
博多弁で語る「ラーメン屋の姉ちゃんの歌」は落涙必至。涙がしたたり落ちたバーカウンターにはもちろんバーボンのショットグラス。
ただ、ブルースライブ自体は珍しくも何ともないのでありますが、すでに10月6日で3回目を数える「岡部鉄心バンドブルースナイト」はなんと街場のバーで開かれているのであります。
ライブハウスではありません。フツーのバーです。それもカウンターオンリーの。
「そんなもん、できるわけないだろう。ボックス席もないならタダの流しのギターとどこが違うねん」と関西弁でつっこんだあなた、正解。
ドアとカウンターの間で鉄心さん、唄います。その横のスペースにドラムセット(おい)。さらに横にベース。簡単に言えばカウンターのお客さんの背後霊状態。
初めてバンド編成になった第2回目の時、私ドラムセットの隣でした。ライブハウス経験長いですが、バスドラの前で酒飲んだの初めてです。
ギターアンプはカウンターの上。アンプの前にはバーボングラス。
もう最高です。トーキングブルースって究極はこういうスタイルに行き着くんじゃないのかな。
トーキングブルースが自らの音楽の理想だと公言するガリレオ・福山雅治君がこれみたら長崎に帰省せずに熊本に来るぞ。
もうこれは必ず絶対に何が何でも続けて行っていただきたいと、これを呼んでいるであろう店のマスターにここで強く主張しておくわけであります。
と、それはおいといて。
このトーキングブルースナイトの第二回目から「ET」という女性ブルースシンガーが前座で登場するようになりました。
身長も手のひらもみんな小柄で、ギターがやたら大きく見える「女の子」です。
でも、ハンチングにちょっと大きめのシャツ姿できっちりブルースです。「天空の城ラピュタ」みたいと言えないこともありませんが。
これがいい。
まずギターがちゃんとしてる。若いブルースマンって、結構奏法なんかいい加減で「まず気合いから」みたいなところがあるんですが、彼女はちゃんとしてる。少なくともきちんと気を配って演奏してる。
唄も同じ。ブルースらしく自分に没入してるところとはちゃんとありつつ、どこか客観的に見ている。客観的になりすぎるとまたこれはブルースじゃなくなるんですが、そのバランスがいい。おそらく意識してるんじゃないけれども、聞いている客としては大変心地よい。
それはオリジナルの曲によく出てる。
何の派手さもないけど、「ブルースってこうだったよなあ」ってこんな子に教えられるのかという思い。
ブルースっていうのは本当は「含羞」を聞かせるものだったということを思い出させてくれる唄です。
特に「ゆっくり廻る」「街」の2曲は素晴らしい。
鉄心さん、彼女はそのうち大化けするんじゃないでしょうか?
彼女のhpは(携帯向けみたいだけど)http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=etinfo
オススメです。