2008年08月24日

エルミタージュ・ドゥ・タムラ

フレンチの名店として知られるエルミタージュ・ドゥ・タムラに行く機会がありました。
以前、オーナーシェフの田村良雄さんの著書を読んで、一度行ってみたいと思っていました。
素材重視の料理への姿勢はもちろんですが、文章から伝わる誠実で柔和な物腰が「ああ、この人の作る料理はうまいだろうなあ」と思わせるものがありました。

メニューは3種類のコースのみ。コース苦手、アラカルト重視派の私としては最初ちょっと抵抗がありましたが、著書を読んで納得。信頼のおける網元からしか魚介を仕入れないので、アラカルトとして定番メニューを揃えるのは無理がある。それより、その日入った食材でコースを組み立てる方がよいという考え。確かに立地を考えると正解だと思う。

コースは8000、12000、15000円の3種類。今回は12000円を頼みました。
1品目は「萩の鱧パスタ 黄色いガスパチョソース」。
ハモのすり身を塩のみでトコロテンの要領でパスタ状にし、ミョウガやトウガンとともに黄色いトマトを使ったガスパチョソースであえています。

お次は「茄子のジュレ仕立 ニンニク風味のエスプーマ」。
これは文章で説明するのはなかなか難しいのでありますが、白身の魚をコンソメのジュレでマリネし、そのまわりを焼きなすで包み、セルクルで形を整えたところにニンニク風味のエスプーマをたっぷりかけたもの。すこしニンニクが強いかなと思いました。

3品目は「鮎のサラダ キュウリソース」。
どこのアユかは説明されたけど忘れました。カリカリに焼いたアユにキュウリのソースって、ありふれてる!と思いますでしょうか。いやいやいや、これがそんじょそこらの皿ではありません。
アユの香りを損なわない程度に軽く燻製してあって、さらにパートフィローを巻いてかりっとした食感を高め、汁気たっぷりのキュウリのソースで食感が損なわれないようになっています。
ちなみに、たっぷりのサラダにはソースに使ったキュウリが丸ごと一本、二つに切ってごろんと皿にあわせてあって、丸かじりも楽しめます。田村シェフの「これだけうまいキュウリを使ってるんだぞ」という自信と遊び心が感じられます。

4品目は「萩のウニとランド産フォアグラのアンサンブル」。
これは絶品!ウニとフォアグラのコンビなんてうまくて当たり前だろと言われそうですが、うまいものはうまい。
ウニとフォアグラなのに、ちっともくどくない。ウニの潮の香りとフォアグラの甘みをオクラがつなぎ合わせて、もう天にも昇る心地で平らげました。

5品目は「桃のスープ」
タムラを夏に訪れるほとんどの客が楽しみにしていると思われる名品。
実をくりぬいた桃を凍らせて器にしており、桃の果肉の冷製スープと一緒にシャーベット状になったところを削りながら食べます。

6品目の魚、「真魚鰹のアジア風マリネ 野菜のピラフ添え」
真魚鰹の脂のノリ、皮パリ中しっとりの焼き加減、ソースの塩梅。言うことありません。
ソースは最初バルサミコかと思ったんですが、ニンニクの黒酢漬けを使ったものだそうです。
本日のベストディッシュ。

7品目の肉、「イタリア産子兎のロティ ロゼワインソースラヴェンダー風」
子ウサギの柔らかさと独特の軽いクセがロゼソースに包まれて、優しさと野趣が同居する逸品。

チーズ。
7種類くらいのお勧めの中から、マールでウオッシュしたエポワスや、脂肪分が通常の倍以上というクリーミーで濃厚なブリなど3種をチョイス。それまで白ワインを飲み続けていましたが、せっかくなのでマール(ブルゴーニュ)も注文。

デザート
3種類の中からチョイス。私はマンゴープリンココナッツソースを選びました。
コーヒーはエスプレッソをオーダー。

最後に。
メロンとメロンスープで〆でした。

実は最初にちょっとしたトラブルがありました。
前述のように1万2000円のコースを予約していたのですが、当日、着席するとどうもおかしい。
若いウエイターさんがコースメニューを持ってきたあと、「おきまりですか?」。
「予約の時にお願いしていますが?」と答えると、「すみません、言い方が適切でなかったです」となんだか分かったような分からないような返事。
で、渡されたコースメニューは、予約時に聞いたコースと比べてやや寂しい気がしたし、そもそも桃のスープがありません。聞くと「サイドオーダーになります」とのこと。では、と追加して、食事に入ったのですが、疑念は消えません。
で、結局途中で「このコースは予約したコースと違うのでは?」と尋ね、ようやく8000円のコースと取り違えられていたことが判明しました。
その後のウェイターさんの対処の仕方はそれほどスマートとは言えなかったのですが、フロアホステスを務める田村夫人が謝罪に来られ、最後には田村シェフご自身も来られてかえって恐縮しました。
タクシーに乗って店をあとにするまで田村夫人の細やかな気遣いは続き、初めての来店にもかかわらずゆっくりと会話を楽しむこともできました。

近年タムラは予約も取りにくく、有名になりすぎたのか、ネットでは厳しい意見を目にすることが多くなりました。
しかし私としてはやはり今も最高レベルのフレンチだと思います。
野菜をはじめとする旬の素材の数々(旬以外のものは全く出てこない)は文句の付けようがありませんし、その素材を最大限生かすための想像力は生き生きとして、それを実現するための技術は申し分ありません。
1年に1回訪れたい、大切な店です。



ラベル:フレンチ
posted by 紅灯 at 20:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 酒・料理 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ほう、軽井沢にいってたんすか。いいなー。

おちびがいるとなかなかというか、こういう店いけないのでかなりうらやましいです。
Posted by 摩沙豆 at 2008年08月28日 00:21
軽井沢のあの有名店ですよね、私も行ってみようと思います。晩秋の軽井沢もステキだし
Posted by さっちゃん at 2008年08月28日 02:11
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